「9条世界会議」

   世界は9条をめざす
 5月4日〜6日「9条世界会議」によせて
 「平和を愛する公正と信義」の輪を広げたい


       笹本 潤 (ささもと・じゅん 弁護土、日本国際法律家協会事務局長)

 私が海外の視点で九条を見る必要を感じたのは、二〇〇四年に韓国に行った時でした。 ちょうどその年は有事立法が成立した時で、「北朝鮮脅威論」が日本国内で声高に叫ばれていました。
北朝鮮が脅威かどうかは一番近い国に「行けばわかると思ったのですが、私の予想に反して、韓国の研究者から「北朝鮮よりもあなたの国(日本)の方がよっぽど脅威だ」と言われ、衝撃を受けました。
 そして次に、二〇〇五年に東京で東北アジアのNGO(非政府組織)が集まる会議(武力紛争予防のためのGPPAC会議)に参加した時です。
アジア各国の人が□々に「日本の憲法九条」を語りはじめたのです。

 武器のまん延をとめるためにも

中国の人が「日本の9条のゆくえが東北アジアの平和のカギを握っている」と言い、ロシアの教授が「日本の九条がなくなったら、私は学生たちに何を話せばいいのか?」と情熱的に語ります。
フィリピンの人は「軍事大国の日本が九条をなくしたら東南アジアの人は不安を感じます」と言います。
 私は「なぜ海外の人が九条のことをよく知っているの?」と素朴に疑問に思い、九条が思った以上に海外から関心を持たれていることに気づきました。
九条は一つの国際問題なのです。
 『北朝鮮脅威論』などの改憲論の論拠に対しても、「海外から見るとどうなのか」という視点が必要です。
日本一国の枠にとどまらず、国際的に視野を広げて九条の問題を見ないと、改憲の是非についても本当の意味がわからないのだと思います。
 イラクの人が日本に来た時も、「日本は軍事でない形でイラクに貢献してほしい」と言っていました。
改憲派の論拠の『国際貢献論』だって、なぜ『軍事による』国際貢献なのかが十分に議論されていません。
援助される側の意見を聞かないで、アメリカなどいくつかの国の意見だけに左右されていなかったか、ここでも国際的に視野を広げる必要があります。
 アフリカに行った時には違う意味で驚きました。
日本の九条の署名を集めていると、アフリカの青年が「日本には九条があるため武器輸出の規制がある。
今、アフリカの武器をなくすことができるのは九条だ!」と言い、「アフリカにこそ九条が必要」と力説しました。
戦力を禁止している九条が、武器のまん廷しているアフリカでこのように求められているとは思ってもいませんでした。九条の原点を思い起こさせてくれました。
 スイスで軍隊廃絶運動をしている方は「日本の九条を念頭に」運動を進めていると言います。
世界には、日本の九条を生かす声が現実に存在するのです。九条は決して「理想にすぎない」のではありません。

海外の人が語る9条を聞く好機

 五月四日〜八日に幕張メッセなどで開催される「九条世界会議」は、海外の人が語る九条を聞く絶好の機会です。
スピーチ、コンサート、分科会など内容も盛り沢山で、海外から百人以上が参加します。
五月の連休中ですが、このように九条のために世界から多くの人が集まる機会はめったにありません。ぜひ一度はいらしてください。
 そして、このような会議に集まって、海外の人と交流すること、これが「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」憲法前文のことばに最も適合した行動だと思います。
 「九条世界会議」は、憲法九条の価値を再認識して、これからの九条の運動をさらに発展させていく大きなきっかけになるでしょう。
  (ささもと・じゅん 弁護土、日本国際法律家協会事務局長)
      ◇
 九条世界会議=4日全体会・音楽ライブ、5日分科会、6日まとめ。
 千葉・幕張メッセ。
 チケットは全国のローソンで。前売り 千円、当日券 千五百円。
 問い合わせ電話 03(3363)7967 同事務局。  (http://whynot9.jp/)

 (しんぶん赤旗 文化学問欄 2008.4.23.より転載)



「憲法九条を守る呉の集い」に戻る

「平和運動」に戻る