戦災体験を記録する時の留意事項

一般的な留意事項

1、今からどのようなことを記録し、聞くか、大体の質間事項を事前に説明し、体験者が記憶を整理し、
  まとまった話(文章)になるようにしてから話してもらう。
2、体験者カルテの項目欄(被災地、被災月日、当時の職業、出身地と来呉年月日及びその理由等)を
  まず記入してから質間をはじめる。
3、その人でないと聞けないような当人の一番詳しい点を重点的に聞く方が、
  なにもかも幅広く聞くより記録として整理しやすい。
4、爆撃その他の日時は、日常生活の時問との関係で聞く方が、より正確となる。
5、全般的に体験者のもっている強い印象や感想などを自由に話してもらい、
  聞きながら不足事項をチェクして再質問する。
6、できたらこれを本人または家族の方にお願いして手記に書いていただく。

○空襲前の生活について教えてください。

1、いつごろから、どこに住んでいたか。
2、職業はなにをしていて、生活状況は。
3、隣組は今の自治会とどう違っていたか。
4、物資の配給はいつ頃、何を、どれくらい。
5、買い出しはどこで、何を買っていたか。
6、防火演習や避難訓練の状況は。
7、勤労奉仕、徴用工等はどのような状況か。
8、まわりにいた軍人との生活のつながりは。
9、防空壕(や田舎)へ何をどのくらい保管したか。
10、この戦争についてどう思っていたか。
11、朝鮮の人や中国の人に対する意識や見聞。
12、戦意昂揚のため、どんなことがされたか。

○空襲の状況はどうでしたか

1、警報は何時ごろ鳴ったか。
2、警報を聞いた時、何をしていて、どうしたか。
3、どのように爆撃され、どこから焼けたか。
4、平素、空襲の時しようと思っていた通りにできたか。
5、消火作業、その他、何かしたか。
6、燃える状況、市全体の状況、感じたこと。
7、飛行機の飛び方、爆撃の方法はどうか。
8、空襲で一番印象に残っていることは。
9、日本軍の反撃、対応はどうであったか。
10、家族の死傷、家屋、家財の被害状況は。
11、原爆の被災者をどう思っているか。
12、他の都市の戦災をどう思っているか。

○どのようにLて避難Lま」たか。

1、何を持って逃げたか。
2、どういう道順で、どこへ避難したか。
3、防空壕での状況はどうだったか。
4、防空壕で何を考え、何を話していたか。
5、防空壕からでてどこへ行き、何をしたか。
6、避難をする際、だれが、どんな指揮をしたか。

○近所や市内での見聞をきかせて下さい。

1、死傷者が多くでたのはどこか。
2、どこで何人ぐらいを火葬にしたか。
3、軍、警察等の救護活動はどうであったか
4、治安、秩序維持はどのように行われたか
5、軍の物資の放出状況はどうであったか。
6、投下ビラ、壁新聞等を見たか。
7、軍需物資の貯蔵場所やその処分はどのようにされたか。
8、焼跡や死傷者についての状況は。
9、当時の報道と生活実態との相違はどうか。
10、戦争の見通しや敗北感はいつ頃からか。

○空襲の次の日、一力月後、一年後の生活を教えてください。

1、炊き出しの状況、どこで寝泊りしたか。
2、生活用品をどのように補充したか。
3、焼け跡をどのように整理、復興したか。
4、生計、職業はどうなったか。
5、借地、借家の人は元の所へ帰れたか。
6、呉市外へ一時でた人はいつ帰ってきたか。
7、市の機能(隣組、電気、水道、配給等)の状況はどうたったか。
8、軍や市行政が住宅、物資等でしてくれたこと。
9、生活上いちばん苦しく、困ったこと。
10、敗戦の日に何をしたか、その感想は。
11、軍や工廠の解散はいつ、どのようにして。
12、工廠等の退職後の生活はどうしたか。
13、終戦前後の軍や工廠の状況はどうか。
14、占領軍はいつごろ、どのように入ってきたか。
15、学校生活の実態はどうでしたか。
16、今の子どもたちに何を一番話したいか。



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